「ここなら通えるかもしれない」不安だった未来が、少し楽しみになった高校生活

2026-07-07

「中学校のころは、“高校に通えている自分”が想像できなかったんです」 そう話してくれたのは、附属高校3年生の打谷紅さん。 今では週3日の通学を続けながら、編み物の物販、看護体験、留学生交流会、高校ねぶたなど、さまざまな活動に挑戦しています。 今回は、打谷さんに高校生活についてお話を聞きました。  

 「ここなら通えるかもしれない」中学時代の不登校経験から見つけた進路

打谷さんは、中学時代に不登校を経験しました。 「小学校高学年くらいから、“学校に行きたくない”って思うことが増えていました。中学校も最初の1週間は頑張れたんですけど、そのあと一気に体力も気力も落ちてしまって……」 そんな中、中学2年生の夏ごろ、お母さんの勧めでこの高校のオープンキャンパスに参加しました。 最初は、「どんな授業なんだろう」「ちゃんと話せるかな」と緊張していたそうです。それでも何度か参加するうちに、少しずつ安心感が生まれていきました。 「週3日で午前中が中心の通学なら、“頑張れば行けるかもしれない”って思えたんです」 さらに、授業の雰囲気にも魅力を感じました。 「先生も話しやすくて、“ここなら自分でも通えるかもしれない”って思えました」 そして実際に入学してみると、その不安は少しずつ変わっていったといいます。 「いろんな人がいて、“こういう子もいるんや”って知れたし、自分でもびっくりするくらい楽しくて。この学校に入ってよかったなって思いました」  

“正解を覚える”だけじゃない。対話から広がる、この学校ならではの授業

打谷さんが特に印象に残っているのが、この学校ならではの“対話型授業”です。 「普通に教科書を進めるだけじゃなくて、みんなで話し合ったり、実際に体験しながら考える授業が多いんです」 たとえば数学では、ストローを使って立体を作りながら構造を理解したり、総合の授業ではレゴを使って“相手に伝える難しさ”を学んだり。 現在、国語の授業では、“自分を表すキャッチコピー”を考えているそうです。 「友だちに“私ってどんなイメージ?”って聞きながら考えていて、自分では思いつかなかった見方に気づけるのが面白いです」 グループディスカッションも多く、「自分一人では出てこなかった考え方に出会える」のが、この学校の授業の魅力だと話してくれました。  

サロンは、安心して過ごせる場所。先生との距離の近さが支えてくれた高校生活

学校生活の中で、打谷さんがよく過ごしている場所があります。 それが、職員室前の「サロン」です。 「先生との距離が近くて、気軽に話せるんです。なんとなく安心できる場所ですね」 入学当初は、週3日の通学だけでも精一杯でした。 「最初は、学校に行くだけで“どっと疲れる”感じでした。火曜日と木曜日は家でゆっくり休まないとしんどくて」 それでも、少しずつ学校生活に慣れていきました。 「今では“学校ないかな”って思うくらいです(笑)」 以前は、1週間に予定が1つあるだけでも不安になっていたそうです。しかし今では、学校以外の活動にも挑戦できるようになりました。 「自分でも、“こんなに動けるようになるんや”ってびっくりしています」  

「かわいい!」が自信になった。編み物の物販で広がった人とのつながり

打谷さんの趣味は編み物。 小学生のころに始め、一度はやめたものの、中学生になってから再び夢中になったそうです。 「今ではもう生活の一部ですね。手を動かしている時間が、自分にとって落ち着く時間なんです」 高校では、その作品を文化祭で販売。しかも、1年生の頃から個人で物販に挑戦していました。 「“かわいい!”とか、“欲しい!”って言ってもらえるのが本当に嬉しくて」 作品を通して後輩とのつながりも生まれました。 「自分の作ったものをきっかけに、後輩が話しかけてくれたりして。すごく嬉しかったです」 学校外のマーケットに参加したこともあり、海外からのお客さんが作品を購入してくれたことも。 「ドイツの方が買ってくださって、“私の作品がドイツに行くんだ!”って思いました」 好きなことを続ける中で、人との出会いや新しい経験がどんどん広がっていったといいます。  

“やってみないと分からない” 不安があったからこそ見つけた前向きさ

打谷さんは、自分の変化についてこう話します。 「昔は、“できないかもしれない”っていう不安がすごく強かったんです」 高校に入る前は、「将来ちゃんと働けるのかな」と考えてしまうことも多かったそうです。 しかし高校生活の中で、少しずつ考え方が変わっていきました。 「母によく、“まだやってないのに諦めるのはもったいない”って言われていて。確かにそうだなって思えるようになったんです」 その言葉をきっかけに、英検にも挑戦。 最初は4級からスタートし、今では準2級合格を目指して勉強しています。 「高校生なのに、中学英語も全然分からなかったんです。でも少しずつ積み重ねて、“ここまでできるようになったんだ”って思えました」 不安がなくなったわけではありません。 それでも、 「やってみないと分からない」 そう思えるようになったことが、自分の大きな成長だと話してくれました。 同好会発表会では、ファッションショーのモデルにも挑戦。ペットボトルを頭に乗せてウォーキングの練習もしたのだとか。  

目指すのは、寄り添える看護師。子どもたちの力になれる存在になりたい

打谷さんの将来の夢は、看護師になること。 医療関係の仕事をしているご両親の影響もあり、小さいころから医療は身近な存在でした。 「最初は保育士になりたかったんです。でもだんだん、医療にも興味を持つようになって」 特に今、関心を持っているのが「小児医療」です。 「病気と向き合っている子どもたちの話を聞いて、“すごいな”って思ったんです」 “かわいそう”ではなく、一生懸命に生きる姿に心を動かされたといいます。 「その子たちの“やりたい”に寄り添える存在になりたい。そのためには知識も必要だから、ちゃんと学びたいと思っています」 看護師という仕事に対して、不安がないわけではありません。 それでも、 「失敗しても、その経験を次に活かせる人でありたい」 そう語る打谷さんの言葉には、これまで一歩ずつ前に進んできた強さが感じられました。  

「今見えている足元」を大切に。打谷さんが中学生に伝えたいこと

「未来って、先が見えなくて不安になることもあると思うんです」 そう話したあと、打谷さんは、昔読んだ絵本の話をしてくれました。霧がかかっていて、遠くは見えない。“この先どうなるんだろう”と不安になる主人公に対して、 「先は見えなくても、“今の足元”は見えているよ。だから、一歩ずつ進めば大丈夫」 そんな言葉があったそうです。 「未来って、その時にならないと絶対わからない。でも、“今日はこれをやってみよう”とか、“明日はここまで頑張ろう”とか、今できることを少しずつ積み重ねていけば、気づいたら昔の自分が想像できなかった場所まで来れてるんじゃないかなって思うんです」 入学前は、“通えるかどうか”を不安に思っていた打谷さん。 今では、自分の好きなことに挑戦しながら、看護師という夢に向かって歩いています。 「だから、過去の自分には、“そんなに心配しなくて大丈夫だよ”って言ってあげたいです」 自分のペースで、一歩ずつ。 “今見えている足元”を大切に進んできた打谷さんの姿は、これから進路を考える中学生に、そっと勇気をくれるようでした。

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